栃木県の日光エリアは、江戸時代より前から信仰の対象となってきた日光山を中心とした神仏習合の聖地です。徳川家康を祀る東照宮をはじめ、二荒山神社や輪王寺など世界遺産に登録された歴史的な社寺が点在しています。自然と融合した壮麗な建築物や装飾は、日本の文化や芸術の粋を集めたものとして国内外から多くの訪問者を集めています。また、「日光二十四社」と呼ばれる神社群や、中禅寺湖周辺の寺社など、広大な日光エリア全体が霊場としての雰囲気を醸し出しており、四季折々の自然の美しさと相まって、精神的な安らぎを求める人々の心を癒してきました。江戸幕府の庇護を受けた歴史と自然信仰が融合した独特の文化的景観が今も大切に保存されています。
日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)






1617年に創建された、徳川家康を祀る神社です。「東照大権現」として神格化された家康の霊を祀る場所として、三代将軍家光により現在の壮麗な姿に造営されました。約55万平方メートルの敷地内には、国宝の陽明門をはじめ、三猿や眠り猫など有名な彫刻が施された8つの国宝建造物と34の重要文化財建造物があります。金箔や極彩色の装飾が施された建築物は「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿や眠り猫など細部にまで芸術的な彫刻が施され、日本建築の極致とも言われています。
詳細情報
住所 | 〒321-1431 栃木県日光市山内2301 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約10分、「東照宮」下車徒歩約5分 |
駐車場 | あり(有料、乗用車1回1,000円) |
電話番号 | 0288-54-0560 |
拝観時間 | 4月〜10月:8:00〜17:00、 11月〜3月:8:00〜16:00 |
御朱印の有無 | あり |
日光二荒山神社(にっこうふたらさんじんじゃ)






767年に創建された日光山の総鎮守であり、日光の神仏習合の歴史を象徴する神社です。本宮は2つの男神(大国主命と少彦名命)と女神(田心姫命)を祀ることから「二荒山(ふたらさん)」と呼ばれています。神橋の上流にある本社は苔むした石段が印象的で、古より山岳信仰の対象となってきました。境内には国宝の本殿や拝殿など貴重な建造物が多数あり、厳かな雰囲気が漂います。東照宮ほどの華やかさはありませんが、自然と調和した静謐な空間が魅力で、古来からの日光の霊性を感じることができます。
詳細情報
住所 | 〒321-1431 栃木県日光市山内2307 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約10分、「神橋」下車徒歩約5分 |
駐車場 | あり(有料、乗用車1回1,000円) |
電話番号 | 0288-54-0535 |
拝観時間 | 4月〜10月:8:00〜17:00 11月〜3月:8:00〜16:00 |
御朱印の有無 | あり |
日光山輪王寺(にっこうさんりんのうじ)






766年に勝道上人により開かれた天台宗の寺院で、日光山の中心的な存在です。本堂(三仏堂)には薬師如来、阿弥陀如来、千手観音の三体の巨大な仏像が安置されており、荘厳な雰囲気に包まれています。東照宮や二荒山神社とともに「日光の社寺」として世界遺産に登録されています。かつては神仏習合の中心として数百もの堂塔伽藍を有していましたが、明治の神仏分離令により多くが失われました。それでも、法華堂(常行堂)や大猷院など重要な建造物が残され、日本仏教の重要な聖地として今日に至っています。
詳細情報
住所 | 〒321-1431 栃木県日光市山内2300 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約10分、「東照宮」下車徒歩約5分 |
駐車場 | あり(有料、乗用車1回1,000円) |
電話番号 | 0288-54-0531 |
拝観時間 | 4月〜10月:8:00〜17:00 11月〜3月:8:00〜16:00 |
御朱印の有無 | あり |
日光山中禅寺(にっこうさんちゅうぜんじ)






784年に勝道上人により開山された天台宗の寺院で、中禅寺湖のほとりに建っています。本尊は勝道上人自らが刻んだという千手観音菩薩で、立木観音として有名です。4月下旬には中禅寺湖周辺の桜が咲き誇り、秋には紅葉が湖面に映え、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。標高約1,300mの高地にあり、夏は避暑地として多くの人が訪れます。かつては外国人の別荘地としても栄え、エキゾチックな雰囲気も残っています。自然と信仰が調和した、心静かに参拝できる場所です。
詳細情報
住所 | 〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2578 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約50分、「中禅寺温泉」下車徒歩約10分 |
駐車場 | あり(無料) |
電話番号 | 0288-55-0013 |
拝観時間 | 8:00〜17:00(冬季は短縮あり) |
御朱印の有無 | あり |
二荒山神社中宮祠(ふたらさんじんじゃちゅうぐうし)
二荒山神社の奥宮として、中禅寺湖のほとりに鎮座する神社です。男体山の山頂に鎮座する本宮が参拝困難なため、代わりに参拝する場所として古くから信仰を集めてきました。主祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)です。湖に面した鳥居は絶好の撮影スポットで、四季折々の風景と相まって美しい景観を作り出しています。男体山を望む厳かな雰囲気の中で、山岳信仰の歴史を感じることができる場所です。
詳細情報
住所 | 〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2484 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約50分、「中禅寺温泉」下車徒歩約5分 |
駐車場 | あり(無料) |
電話番号 | 0288-55-0638 |
拝観時間 | 境内自由 |
御朱印の有無 | あり |
日光山滝尾神社(にっこうさんたきのおじんじゃ)






日光山開山の地として知られる神社で、勝道上人が初めて日光に入った際に霊夢を見て社を建てたとされています。本殿は鎌倉時代の建築様式を残す貴重なもので、国の重要文化財に指定されています。主祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)で、縁結びや開運の神として信仰されています。特に「末広がり」の扇形の境内は、商売繁盛のご利益があるとされ、多くの商人が参拝に訪れます。東照宮などの主要社寺からは少し離れていますが、静かな雰囲気の中で昔ながらの日光の霊性を感じることができる場所です。
詳細情報
住所 | 〒321-1414 栃木県日光市萩垣面2307 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約5分、「滝尾神社前」下車徒歩約3分 |
駐車場 | あり(無料、少数) |
電話番号 | 0288-53-3498 |
拝観時間 | 境内自由(社務所は9:00~16:00) |
御朱印の有無 | あり |
憾満ヶ淵(かんまんがふち)






日光の自然と信仰が融合した神聖な場所で、大谷川沿いに位置する深い淵です。この地には70体以上の石仏(地蔵)が立ち並び、独特の雰囲気を醸し出しています。これらの石仏は江戸時代に造られたもので、川の流れと苔むした岩肌、石仏が織りなす景観は幻想的で、多くの写真愛好家が訪れます。本来は「鉄輪」という鬼女の伝説に由来する「鉄輪が淵」が訛ったとされています。東照宮などの華やかな社寺とは異なる、自然信仰の素朴な一面を見ることができる場所で、日光の隠れた名所として親しまれています。
詳細情報
住所 | 〒321-1435 栃木県日光市花石町 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約10分、「大猷院・二荒山神社前」下車徒歩約15分 |
駐車場 | あり(近隣に有料駐車場) |
電話番号 | 0288-54-2496(日光市観光協会) |
拝観時間 | 自由(特に制限なし) |
御朱印の有無 | なし |
大猷院(たいゆういん)






1653年に完成した、三代将軍徳川家光を祀る霊廟です。輪王寺の別院として、家光の死後に子の家綱によって建立されました。東照宮の豪華絢爛さとは対照的に、黒と金を基調とした厳粛で荘厳な雰囲気が特徴で、家光の遺言により家康への敬意が随所に表されています。敷地は東照宮よりも広く、入口から本殿まで一直線ではなく屈折した配置となっているのも特徴です。仏式と神式が融合した独特の様式を持ち、国宝や重要文化財に指定された建造物が多数あります。東照宮と並ぶ日光の重要な霊廟として、多くの観光客が訪れます。
詳細情報
住所 | 〒321-1431 栃木県日光市山内2300 |
アクセス | JR・東武日光駅から東武バスで約10分、「大猷院・二荒山神社前」下車徒歩約5分 |
駐車場 | あり(有料、乗用車1回1,000円) |
電話番号 | 0288-54-0531(輪王寺) |
拝観時間 | 4月〜10月:8:00〜17:00 11月〜3月:8:00〜16:00 |
御朱印の有無 | あり |
日光山本宮神社(にっこうさんほんぐうじんじゃ)






男体山山頂(標高2,486m)に鎮座する二荒山神社の本宮です。勝道上人が766年に開いたとされる由緒ある神社で、男体山そのものを神体山として崇拝する山岳信仰の中心地です。かつては女人禁制であり、山頂への登拝は修行の一環として行われていました。現在は登山道が整備され、夏季(7月~9月)には多くの登山者が訪れます。山頂からは日光連山や関東平野を一望でき、特に日の出の景色は素晴らしいとされています。日光の神仏習合の原点とも言える神社で、古くからの山岳信仰を今に伝えています。
詳細情報
住所 | 〒321-1431 栃木県日光市山内(男体山山頂) |
アクセス | 二荒山神社中宮祠から登山道で片道約4時間 |
駐車場 | なし(中宮祠付近の駐車場を利用) |
電話番号 | 0288-54-0535(二荒山神社) |
拝観時間 | 7月1日~9月10日の登山シーズン中のみ参拝可能 |
御朱印の有無 | あり(山頂の社務所または下山後に中宮祠や本社でいただける) |
神橋(しんきょう)(神輿渡御橋)
大谷川に架かる朱塗りの美しい橋で、日光山の総鎮守である二荒山神社の神域の入口に位置しています。1636年に造られた現在の橋は、勝道上人が神の力を借りて大蛇を使って架けたという伝説に基づいています。「日本三奇橋」の一つとされ、国の重要文化財にも指定されています。朱塗りの欄干と周囲の緑、渓流の清流が調和した景観は日光のシンボルとなっており、多くの観光客に写真スポットとして親しまれています。かつては神聖な橋として一般人の通行は禁じられていましたが、現在は拝観料を支払うことで渡ることができます。
詳細情報
住所 | 〒321-1401 栃木県日光市日光(大谷川) |
アクセス | JR・東武日光駅から徒歩約20分または東武バスで約5分、「神橋」下車すぐ |
駐車場 | あり(近隣に有料駐車場) |
電話番号 | 0288-54-0535(二荒山神社) |
拝観時間 | 8:00~17:00(季節により変動あり) |
御朱印の有無 | なし(二荒山神社でいただける) |