呉市は瀬戸内海に面した港湾都市で、明治以降、旧海軍の軍港として発展した歴史があります。市内には古くからの漁村や農村に由来する神社が点在し、海の安全を祈願する海の守護神を祀る神社が多いのが特徴です。また、旧海軍にゆかりのある神社も多く、海上自衛隊の基地がある現在も、海との関わりを示す信仰施設が数多く存在します。山間部には修験道の影響を受けた古刹も残り、港町と山村の両方の信仰文化が混在しています。戦時中の空襲で被災した寺社も多く、戦後に再建されたものがほとんどですが、一部には江戸時代以前の建造物や文化財を残す貴重な施設もあります。地域の歴史と共に歩んできた呉市の神社・お寺は、今も地域の信仰の中心として大切にされています。
目次
温泉神社
呉市を代表する神社で、1181年（養和元年）に創建されたと伝えられています。祭神は大山祇命と少彦名命で、当初は下蒲刈島にありましたが、1907年（明治40年）に現在地に遷宮されました。呉鎮守府の総鎮守として旧海軍関係者から厚い崇敬を集め、今も海上自衛隊関係者の信仰を集めています。境内には1908年建立の本殿が残り、国の登録有形文化財に指定されています。毎年5月に行われる例大祭「春季祭」は呉市の重要な行事となっており、特に海上パレードは見応えがあります。
詳細情報
| 住所 | 〒737-0811 広島県呉市西中央4-1-46 |
| アクセス | JR呉線「呉」駅から徒歩約15分 |
| 駐車場 | あり（無料） |
| 電話番号 | 0823-21-5768 |
| 拝観時間 | 境内自由 |
| 御朱印の有無 | あり |
呉護国神社
1940年（昭和15年）に創建された比較的新しい神社で、戦没者の慰霊と平和祈願の場として重要な役割を果たしています。祭神は戦没者の英霊で、特に旧海軍の戦没者を祀る神社として知られています。境内からは呉港を一望でき、眺望の良さでも人気です。毎年8月には戦没者追悼式が執り行われ、多くの参列者が訪れます。境内には「平和の鐘」があり、平和を願う象徴となっています。また、桜の名所としても知られ、春には多くの花見客で賑わいます。戦争の記憶と平和への願いを伝える場所として大切にされています。
詳細情報
| 住所 | 〒737-0012 広島県呉市警固屋4-6-15 |
| アクセス | JR呉線「呉」駅からバスで「護国神社前」下車、徒歩約5分 |
| 駐車場 | あり（無料） |
| 電話番号 | 0823-28-4434 |
| 拝観時間 | 境内自由 |
| 御朱印の有無 | あり |
呉海軍墓地（住吉神社）
厳密には墓地ですが、敷地内に住吉神社があり、旧海軍関係者の信仰を集めた場所です。1889年（明治22年）に開設され、日清・日露戦争や太平洋戦争などで戦死した海軍軍人約7,000名が眠っています。住吉神社は航海の安全を祈願する神社として海軍にとって重要な信仰の場でした。現在は海上自衛隊の管理下にあり、旧軍港都市としての呉の歴史を物語る重要な史跡となっています。毎年慰霊祭が行われ、戦没者の霊を弔う場となっています。また、桜の名所としても知られ、春には多くの人が訪れます。
