龍岸寺 – 伝統と革新が交差する京都駅近くの浄土宗寺院

京都駅から徒歩約10分。JR線路のすぐ近く、下京区の静かな住宅地に佇む龍岸寺は、400年以上の歴史を持ちながらも、現代的な活動で注目を集める浄土宗寺院です。「一緒にツクろう 新しいお寺のかたち」をコンセプトに、伝統と現代文化を軽やかに融合させた、まったく新しいお寺体験を提供しています。

目次

江戸幕府初代天文方・渋川春海の屋敷跡

龍岸寺の歴史と由緒

龍岸寺は、元和2年(1616年)、僧・三哲(安井算哲/源蓮社長誉三哲和尚)により開かれた浄土宗寺院です。開基の安井算哲は僧侶としては無名ですが、囲碁の世界で活躍した著名な棋士でした。

山号:三哲山
宗派:浄土宗
開基:安井算哲(三哲)
創建:元和2年(1616年)

寺院の山門前の通りは、現在は塩小路通と呼ばれていますが、かつては「三哲通」と呼ばれており、開基である安井算哲の名に由来しています。地図上では今も三哲通として記されており、かつてはバス停にもその名が使われていました。

公式HP

渋川春海との深い縁

安井算哲の長子が、江戸幕府の初代天文方をつとめた**渋川春海(1639~1715)**です。春海は日本初の国産暦である「貞享暦」を作成し、その功績が認められて貞享元年(1684年)に天文方に任命されました。

この功績は、映画「天地明察」(原作:冲方丁)でも描かれ、多くの人々に知られるようになりました。春海が江戸に移住する際、この屋敷跡が本堂として整備され、現在の龍岸寺の基礎が築かれたのです。

本堂と歴史的建造物

龍岸寺 本堂内部 極彩色の装飾と阿弥陀如来が祀られる荘厳な本堂内部

現在の本堂は、江戸時代中期の**貞享年間(1684~1688年)の棟札を持つ歴史的建造物です。また、客殿はこれより少し遅れて享保年間(1716~1736年)**に建立されました。

本堂には御本尊として阿弥陀如来が祀られており、極彩色の装飾や大威徳明王の威容ある欄間彫刻によって、荘厳な雰囲気に満ちています。これら古くからの佇まいの良さを残しつつも、法事など各種行事に利用しやすいよう椅子席の導入や、照明・音響設備の現代化も進められています。

龍岸寺 境内 緑豊かな境内と伝統的な建築が調和する龍岸寺

「ナムい」寺院として注目!革新的な活動

龍岸寺は「お寺こそ、信仰文化の拠点」という信念のもと、伝統的な寺院活動だけでなく、様々な革新的な取り組みを行っています。

ドローン仏発祥の地

ドローン仏 ドローンに載せた仏像が本堂内を飛翔する「極楽来迎」の現代的表現

2018年11月、龍岸寺では仏師・三浦耀山師が開発したドローン仏を堂内に飛翔させ、テクノロジーの力を借りて「極楽来迎」を現代的に表現する画期的な試みに成功しました。

極楽来迎とは、臨終を迎える際に阿弥陀如来が諸菩薩とともに雲に乗って現れ、極楽浄土へといざなう浄土教の教えです。この伝統的な信仰をドローン技術で再現したことは、国内外で大きな話題となり、中学校の公民教科書にも掲載されるなど、文化的な注目を集めています。

YouTubeチャンネル「龍岸寺ナムナムTV」

仏教の教えを現代的な方法で発信するため、YouTubeチャンネル「龍岸寺ナムナムTV」を運営。住職の池口龍法師による仏教講座やお寺の活動紹介など、多彩なコンテンツを配信しています。

佛佛部(ぶつぶつぶ)

仏像彫刻教室 仏師・三浦耀山による仏像彫刻教室の様子

漆塗り教室 わらべ仏に漆を塗る体験教室

寺院文化を多角的に盛り上げる活動団体「佛佛部」では、以下のような多彩なイベントを開催しています:

  • 仏像彫刻教室:仏師・三浦耀山による初心者向けの1日仏像彫刻教室
  • わらべ仏漆塗教室:塗師・伊東泰範による漆塗り体験
  • 佛佛部フェス:年に一度開催される大規模な仏教文化イベント(入場無料)

これらの教室では、伝統的な技法を学びながら、自分だけの仏像を制作することができます。木を彫り、漆を塗る体験を通じて、仏教文化の奥深さを体感できます。

その他の革新的な取り組み

  • NFT御朱印:ブロックチェーン技術を活用したデジタル御朱印「Ryuganji NFT by Goshuin Japan」
  • カプセルトイ仏具:カプセルトイマシンを仏具として活用した話題の試み
  • 家族葬の提供:伝統ある空間で心に残る葬儀を
  • 星月墓(永代供養墓):現代的なデザインの永代供養墓

特別な御朱印と御朱印帳

御朱印帳と御朱印 龍岸寺オリジナルの御朱印帳と特別御朱印

龍岸寺では、寺院の歴史と特色を表現した特別な御朱印と、オリジナルの御朱印帳を授与しています。

オリジナル御朱印帳(2025年10月より授与開始)

星図や仏教のモチーフをあしらった美しいデザインの御朱印帳を授与しています。渋川春海の天文学者としての功績と、仏教の世界観が融合した、龍岸寺ならではのデザインです。

渋川春海 屋敷跡

日本初の暦「貞享暦」を作成した渋川春海の功績を讃える御朱印。「日月清明(にちがつしょうみょう)」の言葉は『無量寿経』の一節で、太陽も月も清らかに光り輝き、世界中が穏やかであることを願う意味が込められています。

※書置きの場合、渋川春海の着色と背景の星図が印刷されます

ドローン仏 発祥の地

テクノロジーで表現した極楽来迎の革新的な試みを記念した御朱印。伝統と革新の融合を象徴する一枚です。

※書置きの場合、ドローン仏の着色が施されます

特別御朱印(2025年10月より授与開始)

本堂でのご供養に使用したろうそくを御朱印紙に定着させた、世界でひとつだけの特別御朱印を授与しています。実際の法要で使われたろうそくが御朱印の一部となり、祈りの証として残ります。

詳しくは御朱印ページをご覧ください。

御朱印授与:拝観受付時間中に対応(法事・葬儀等で対応できない場合あり)

基本情報

寺院名:龍岸寺(りゅうがんじ)
山号:三哲山
宗派:浄土宗
御本尊:阿弥陀如来

住所
〒600-8247 京都府京都市下京区塩小路通大宮東入八条坊門町564

アクセス

  • JR京都駅から徒歩約10分
  • ※中央改札口(京都タワー側)から塩小路通を西へ
  • 最寄り駅:JR「京都」駅、近鉄「東寺」駅

駐車場
あり

電話番号
075-371-0370

拝観時間
9:30〜16:00(本堂拝観は要事前連絡)

御朱印
あり(拝観受付時間中に授与)

公式サイト

参拝のポイント

歴史を感じる境内

江戸時代から続く本堂や客殿、開基・安井算哲の位牌など、400年以上の歴史を感じられる文化財が数多く残されています。渋川春海が天体観測をしていた頃の空気を想像しながら、静かに参拝するのもおすすめです。

本堂内部の極彩色の装飾や、阿弥陀如来を取り囲む金色の荘厳な空間は、訪れる人々に深い感動を与えます。

現代的なお寺体験

伝統的な寺院の雰囲気を大切にしながらも、最新のテクノロジーや文化を取り入れた活動が特徴です。SNSでの情報発信も積極的に行われており、お寺を身近に感じられる工夫がされています。

参拝予約制度

本堂拝観を希望される方は事前連絡が必要です。公式サイトの「参拝予約」ページから予約できます。イベントや法要の日程も公式サイトで確認できます。

周辺の歴史散策

渋川春海ゆかりの地を巡る

龍岸寺から西へ約1kmのところには、渋川春海と深い交流があった土御門家の屋敷跡(現在は円光寺)や菩提寺の梅林寺があります。梅林寺には圭表(太陽の南中高度を測定する器具)の礎石が残り、かつて江戸時代の天文台があったことを示しています。

おすすめ散策コース(徒歩約40分):
龍岸寺 → 梅小路公園 → 円光寺・梅林寺(土御門家ゆかりの地) → 六孫王神社 → 龍岸寺

渋川春海もおそらく、八条通りを西に進み、豊臣秀吉が作った御土居の土手を越えて、土御門家を訪ねていたことでしょう。歴史散策を通じて、江戸時代の天文学者の足跡を辿ることができます。

京都駅周辺の観光

京都駅から徒歩圏内という好立地を活かし、京都観光の合間に立ち寄ることができます。東寺や西本願寺などの有名寺院とも近く、京都観光の新たなスポットとして注目されています。

  • 東寺:徒歩約15分。世界遺産に登録された真言宗の総本山
  • 西本願寺:徒歩約15分。浄土真宗本願寺派の本山
  • 梅小路公園:徒歩約10分。京都水族館や京都鉄道博物館がある広大な公園

龍岸寺が提案する「新しいお寺のかたち」

龍岸寺の活動は、単なる奇抜さを追求しているのではありません。1200年以上続く日本の仏教文化を現代に伝えるため、時代に合わせた表現方法を模索し続けています。

ドローン仏は「極楽来迎」という伝統的な信仰を現代技術で表現したものであり、YouTubeでの発信も仏教の教えをより多くの人に届けるための手段です。伝統の本質を守りながら、形式にとらわれない柔軟な姿勢が、多くの人々の共感を呼んでいます。

「お寺こそ、信仰文化の拠点」という信念のもと、龍岸寺は今日も新たな挑戦を続けています。


※この記事の情報は2025年10月時点のものです。最新情報やイベント情報は公式ホームページでご確認ください。

写真提供:龍岸寺

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この記事を書いた人

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